曇りのち晴れ ~今は亡いきみと~

今 こころの目が曇っていて、こころの目が見えない私は
きみの表情も分からない。ゆるしてほしい
なぜ謝るのときみは言う
草紅葉が戦ぐ音は聞こえる秋
きみとこうしていると思い出す
いつか
空は落ちないと私は言った
空は帰るだけだ
涙を零し
未来に帰る
私達といっしょに
でもなぜか
悲しくはない。悲しくはない
草紅葉が戦ぐ音は聞こえる秋
きみとこうしていると思い出す
昔のきみはかしこい猫だった。
きみの今は
きみの光に
つつまれる
きみの私
私のこころの目が晴れてきて きみへありがとうと言う

今を大切にしてねときみは言う
時の流れにみがかれた砂粒のように小さくなった私を
きみの歌がなぜて通りすぎていく
そしてどの道私自身も見えなくなる。
見上げると雲間から空はほほ笑んだ
ここはどこか
草紅葉が戦ぐ音は聞こえる秋のどこかへ
厚い雲は風に乗って去った。それから
夜空に
瞬く星へ
祈りは
今日の終りを
ささやく

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コメント

  1. この詩から、揺らぎながらもある遠くの一点に向かって(意志すら超越して)なお進むような遥かな道程を感じます。

  2. 草紅葉が戦ぐ音は聞こえる秋、という一節が印象的でいつまでも鳴り続けます。
    空は帰るだけ。そうなのかもしれません。

  3. @あぶくも
    あぶくもさん コメントありがとうございます。
    そうですねぇ、ある一点に向かって進んでいるのかもしれません。
    あぶくもさんがこの詩から遥かな道程を感じてくれたことをありがたく思います。そのように読んで感じてくれて うれしい。
    あぶくもさんにこの詩の祈りが届いたようで何だかすてきに思います。

  4. @たちばなまこと
    たちばなさん コメントありがとうございます。
    草紅葉が戦ぐ音は聞こえる秋、というところは気に入っているところなので、たちばなさんにそう言ってもらえて ありがたくうれしいです。
    空は帰るだけだというのは、一種の願いですね。しかも空は未来に帰る、私達といっしょに。願いです。この詩の場合、この詩の話者であり、作者である私の願い。
    ちなみに、この詩の「きみ」=「猫」の猫は昔実際に私と一緒に暮らしていた猫がモデルです。でもその他は、基本的にこの詩ってご覧の通り作り事です。まあ、いつか 空は落ちないと私は言った 空は帰るだけだ、という部分は昔書いた詩の一部分だと記憶してます。
    たちばなさんがそれらの点に注目してくれて うれしいです。

  5. コメント失礼いたします。

    きっと、タイトルの通りなのですが、
    そのまなざし
    そして力強さ
    を感じる心地がいたします。
    いまこのとき、あの場所が、君が、
    まなざしのなかにうつしだされるような、そんな気持ち。
    いくらかの出会いが
    こんなにも勇気をくれる
    そんな心地。
    (乱文ごめんなさい)

  6. @ぺけねこ
    ぺけねこさん コメントありがとうございます。
    ぺけねこさんが この詩からそのように まなざしや力強さを感じてくれて うれしいです。
    その上、さまざまにこの詩から想像などしてくれて、そういう気持ちまで思ってくれて ありがたいです。
    ああ、ぺけねこさんに この詩が勇気を与えたというのは すてきでうれしい限りです。
    自分の書いた詩から読者の方が、あれこれと感じたり思ったりしてくれるというのは、作者として とてもうれしいことです。
    ぺけねこさん いろいろに読んでくれて それを私に伝えてくれて ありがとうさま♪

  7. いつか
    空は落ちないと私は言った
    空は帰るだけだ

    このフレーズが印象的でした。
    哀しみを乗り越えて前を向こうとする姿が眩しいです。

  8. @nonya
    nonyaさん コメントありがとうございます。
    そのフレーズに注目してくれて ありがたくうれしいです。
    その部分は、昔書いた詩の一部です。15年以上前くらいに書いた詩だと記憶してます。

    そうですねぇ。この詩に出した「きみ」というのは「猫」のことですが、この猫は、昔実際に私と暮らしていた猫です。
    この猫が亡くなった時はとっても悲しかった。幼少の頃から猫と暮らすのが夢で、この夢を叶えてくれた猫でした。
    でも、今となってはその哀しみは昔のことだと思いたいですね。ただし、この猫を死なせてしまったことについては、今でも猫に申しわけないと思うことがあります。それでも、この猫に対しての感謝の念の方が大きい。たしか、この猫の生前に、この猫に向かって「永遠にありがとうだよ。きみとおれの魂は永遠にいっしょだよ」と言ったのを思い出します。
    この猫は猫としては死んでいるけど、今も私のこころにはこの猫が居るんですね。ふふ。うん。

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