コットン・レイン

天王星と海王星の間、しぐれるには永い
きさらぎとDVのはざま、答えるには遠い
桜色のなまこ、棘のある恋人
春を歌い、夏を歌い、秋は自死する
そして我が冬のふとんの中で
みんな眼をとざして、世界は平和です
アンダルシアの腐った肉が平和です
隣町の高校生が朝の電車に乗ろうとする、夜中
懐中電灯はハンドルを回転させて、愛し合う
社会的シグナルは黄色い旗を持ちながら、集い
雀たちのやるせない、こだわりの二重生活
明けて行く空は、ランドセルに写真をはっている
コットン・レイン
海中から飛び出して噴射して白い煙を残して
ピアノのとがった先端が彼女を突く
美とセイレーンの歌をかかしのかわりとして
秋の田のかりほのいほのいわおこし
湿気た気分の、母と差し向かい、おこたで
コットン・レイン
ホリデーは綱渡りするメキシカンのソンブレロ
京菓子の宇宙空間は利休さんが作ったの
それは銀閣寺の井戸の奥にいてはるの
眠る銀龍の髭がやがて八つ橋になりはるの
ステテコで街を歩く男がいる
長い日本刀を肩にかついで大股で
スプートニクのサイズと比較するのは失礼です
ペンシルベニア州立公園の恐竜の展示品は当社で製作いたしました
母よ、眼を開いて、母よ、あなたの息子です
この人とむすばれたいのです
ゆえあって、顔はふせていますが
この乳房をみてください、あなたとそっくりです
山羊とそっくりです、鯨ともそっくり
そうですとも、地球の乳房とそっくりなのです
コットン・レイン
さびしくはありません、ようやくわかりました
コットン・レイン
この人と歩いて行くのです
コットン・レイン
雨の中を。

投稿者

岡山県

コメント

  1. 木綿が育つ時期の雨?とも思いましたが。
    全体感で韻を感じる、からだが揺れるような悦があります。
    急にはんなりするところもおもしろいです。

  2. その土地で生まれ育った人の言葉は美しいですね、わたしは高知・奈良・大阪・東京・岡山のミックスとなってしまいました、そして詩の中で破壊と創造をしていると、ときどき美しい言葉が、浮き出て来ます、それもまた詩作の面白いところかと思ったりします。

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