生業

ⅰ. 映画監督

映画監督は映画をつくった
真面目につくった真面目な映画は笑えず
笑いながらつくったコメディ映画も笑えず
悲しくてつくった悲しい映画はしけたお涙頂戴

映画監督は映画監督になる前映画監督になりたかった

今度の新作は最高の自信作だそうです

ⅱ. 演出家

空間をアートするデザイナー
空気を操るスーパーマジシャン

こんなコピーを思いついてから
演出家の部屋は殺風景です

恋人もいません
壁と机と椅子があるだけです

それでも演出家は話しかけます
テレビも見れば植木に水もやります
そして演出家はとても幸せそうです

最近大きな姿見を買ったようです

ⅲ. 詩人の死

回れ 地球よ 生物よ
それを枕に歌ってやらう

踊れ 踊れ 人々よ
それを枕に歌ってやらう

ひねもす詩人は内なる星で身を焦がす

そして或る日
道端のバナナの皮にすっ転んで死ぬ

投稿者

千葉県

コメント

  1. 映画監督も演出家もなるほど…と笑ってしまいましたが、ハチャメチャ(!?)な詩人(しかも死)に、なぜか理解を示せた私は、ああやはり自分も詩人の端くれなんだと理解しました。道端になぜか落ちているバームクーヘンにすっ転んで死にたいです(笑)

  2. ⅲ. 詩人の死 での転調に声が出ました。
    なんとなく映画で観たモディリアーニの最期を思いました。

    それぞれの生業の方が誰かの感情を揺らしたがっているように感じます。

  3. 好きなことと、できることは必ずしも一致しないし、それが一致しても世界に求められるとは限らない、ってのが持論なんですが、職業なんてまさにそうで、詩が好きで得意でも世間に詩人として認められない人は無数にいて、そのまま死んでいくんでしょうね。

  4. 「詩人の死」はうっすら憧れてしまいました。
    それでも人は食っていかなければならないわけで
    なんだか、やるせないです。

  5. @さはら
    さん、ありがとうございます。
    バウムクーヘンの層がズルっとなる感覚が蹠から頭まで突き抜けてきました。お互いしっかり詩人でいましょうね。

  6. @たちばなまこと
    さん、ありがとうございます。転調を感じ取って頂けて嬉しいです。モディリアーニってバナナの皮ですっ転んで死んだのかと思ってググってしまいました(笑)誰かの感情を揺さぶるような生業ってすごく素敵ですね。

  7. @トノモトショウ
    さん、ありがとうございます。『好き✖️できる✖️需要がある』このベン図の重なり合うところが最もマネタイズに適しているとは思うものの、私は生業は『好き』だけで良いのではないかと思っています。となると、マネーは好きなことでなくても稼ぐ術が必要なのですが。みんなでせーので盛大にバナナの皮ですっ転べたら最高かも知れない。

  8. @nonya
    さん、ありがとうございます。ほんとですね、詩人の死は私の憧れが反映されたのかも知れません。詩を書くことと食っていくことは同じである必要はまったくないなと思う今日この頃で、何に情熱をかけるのかと、それをお金に換える必要があるのかも、まったく別で考えても構わないのだなと思っています。

  9. それほど強い風刺を利かせているわけでもなく、あっけらかんとして、とぼけた味がよいですね。シリーズ化してほしいものです。医者をリクエスト。

  10. @たかぼ
    さん、ありがとうございます。
    ほのぼの系で気に入ってます。これらはその昔職業シリーズで続けようかと企みつつもすっかり忘れてしまった作品たちをコンパイルしたので、たちまこさんのコメントにある転調は、ある意味、作り方としてはレノン・マッカートニーみたいなものなんです。
    では次回、医者で書き下ろし投稿ですね(^^)

  11. 詩人は、映画監督であり、演出家でもあるのだろう、と、読後、ふと思いました。詩は、総合芸術です(大きく出ました)。歌手であり、講談師であります。哲学者であり、ピアニストである。…でも、バナナの皮にすべって死んじゃうところ、いかにも詩人らしいなあ。(泣)

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