にんにくバター醤油スパゲッティ

尾てい骨から
尻尾が生えていることを
恥ずかしがって
路地を走って逃げる秋

夕日が沈むのを
眺めている暇があったら
家に帰って来いと
言い付ける主人の声に従って

任された洗い物を
皿を割らずにこなすこと
他には何もいらない
働いて眠ればいい

追い詰められた秋は
尻尾を抱えて
踊る
踊っているみたいに見える

ああ、たった7分あればいい
人生みたいで良いな
短くて儚い
それ以上何も残らない

ノスタルジア
プライ
サンクチュアリ
アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ

じきに暗い夜の光を迎える
空に焼け付くたそがれ
子どもが笑っているみたいな
冷えきった秋の雨の音

投稿者

神奈川県

コメント

  1. ああここにも、生きているひとがいる、いきている人は、食べなければなりません、それはペペロンチーノ、それは秋が過ぎて行く、熱い皿のうえに、もってください、わたしは犬のように、たべるでしょう。

  2. @坂本達雄
    私自身は清潔なゾンビに近い気がしますが、坂本さんは、いきている方なのですね。皿を温めるのは、おいしい紅茶を淹れたい時にいい、と知っているだけです。やっぱり、お湯に浸ければいいのかな。いつか、ご馳走できるぐらい、美味いパスタを作りたいです。

    有難うございます。

  3. 題名だけでお腹が空いてきそうです。話はかわりますが、いまだにスパゲティのことをパスタと言う人がいるようでやめてもらいたいですね。うどんのことを麺類って言うようなものなので。詩人は言葉に敏感なのです。カッペリーニなのかフィットチーネなのかスパゲッティなのかリングイネなのかそれともショートパスタ系なのか。でもやっぱりペペロンチーノはスパゲッティがベストですよね。それはともかく、寂しさが伝わってくる詩ですね。とりわけ晩秋は寂しい。でもペペロンチーノを食べている7分間が人生を凝縮したような時間で、その中に懐かしさや聖なるものが感じられた、そういう短くて儚い時間だったのですね。たたみかけるような最後の2連が素敵でした。

  4. @たかぼ
    スパゲッティが好きですって言ったら、イタリアンですねって怒られたことがあります。言葉って難しいですね。今度はカッペリーニを調べようと思いました。
    人が楽しそうに笑えば笑う程、寂しくなってくるのが、個人的には秋です。
    作者としての解釈になりますが、英語やラテン語だけで神秘的な詩が書けたらいいなと思いながら、
    知っている単語がこれしかなかったので、
    冗談で並べて書いています。韻を踏んでいて、呪文みたいで、でも普通の料理の名前のペペロンチーノ。

    そういった読み方も出来ますね。有難うございます。

  5. とても良い!です!
    (あれこれ書かなくていいくらいに)

  6. @たちばなまこと
    やったぁ!たちまこさんに誉められた!
    (素直に)

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