この左手薬指の刺青(しせい)
左手薬指に刻んだこの刺青の
あのひとの印は
何億光年あちらにある星の光のように
今は昔の命
昔の命だけれど今も生きている命
この刺青の命の
あの日の痛みは
あのひとの命の輝きの影を映す
あのひとが
今も生きているのかを私は
知らない。
あのひとを
思い出す時は
今でも胸の空気がしびれる。
二度と会うことはない
あのひとだ。あのひとが
その時その時ににこにこしていると良い
刺青のインディゴは
この星から見上げた夜空の色で
宇宙の魂(いのち)とつながっている
愛の歌が罪を告白するのだ
人知れずに
あのひとの命と私の命が
再び
呼び合うことはないけれど、
この刺青と死生を共にする私。
今は無い星が生前に放った光
未来に
この刺青が燃える時
私の命は
この宇宙に
解ける
コメント
「あのひとが
その時その時ににこにこしていると良い」というところが素敵。
我々の目に見えている宇宙の星の輝きも、何億光年隔てた「今は無い星が生前に放った光」を含んだものなんですよね。
この詩に限ったことではないけれど、詩人のパーソナリティが垣間見える作品を読むと(どこまでが創作なのかはわからないにしても)、作者の奥底を感じれたような気になって愛おしくなります。
宇宙を解いたときに
とけ、受け入れ合う
愛の歌が罪を告白する
凄い詩です
力をもらいました
ありがとうございます
ひとつ、ひとつ、歩みを進めるように、いちまい、いちまい、写真を確かめながら重ねるように、大切に書かれた詩だと感じます。
刺青はいつかは持ち主と共に燃えてゆくのですね。
@あぶくも
あぶくもさん コメントありがとうございます。
「あのひと」に限らず、その人 その人がその時 その時にニコニコしているとすてきですよね。
あぶくもさんが、そこを素敵と言ってくれて、うれしいです。ありがとうさま。
そう、今は無い星がいくつもあると思いますけど。まあでも、大体の星は長生きでしょうから、今も生きていて 何百 何千 何億光年離れていても、光り続けている星もあるでしょうけどね。太陽系の太陽の光でさえ、何分か前の光が届いているそうですね。うん。
あぶくもさんが、この詩からそうやって想像などしてくれて ありがたいです。
@トノモトショウ
トノモトさん コメントありがとうございます。
詩人のみんなにそれぞれの個性などの特性があると すてきですよね。
私のパーソナリティーを汲み取ってくれて、うれしいです。
作者のことを思ってくれる読者は最高の存在だと思うので、トノモトさんのことをありがたく思います。
トノモトさん ありがとうさま。
ちなみにこの詩の場合はですが。実際に私こしごえの左手薬指には刺青(しせい)があります。数十年前に彫って頂いたものです。そして、「あのひと」は実際に知人だった方がモデルです。
刺青のインディゴは夜空の色なのですね。
我々の内なる世界と果てしない宇宙の関係が垣間見えると同時に
人の情の深さと、それゆえの哀しさを強烈に感じました。
@那津na2
那津さん コメントありがとうございます。
そうそう解ける。解けるんですよね。うん。
そして、愛する という行為には、少なからずの罪がともなう場合もあるかと思います。
那津さんがこの詩を凄い詩 と言ってくれて うれしいです。
那津さんにこの詩が力を与えたということを思うと ありがたく思います。この詩を書いてここぽえ会で発表して良かった。
那津さん、こちらこそ この詩を読んで感じたりしてくれて ありがとうさま。
@たちばなまこと
たちばなさん コメントありがとうございます。
そうですね、これも大切な詩、でも特別かな。
正直なところ、この詩を書くかどうかもそうだし、まして発表するかどうかもそうだけど、すこし迷いましたよ、書いて発表するかを。でもね、なぜ書いて発表したかというのは、ここぽえ会にはすてきな詩人たちが居るから書いて発表できたんです。だから、ぽえ会のみんなへ ありがとうさま。
そして、たちばなさんがこの詩をていねいに読んでくれた上に この詩を大切に書かれた詩だと感じてくれて ありがたくうれしいです。ありがとうさま。
そう、この刺青(しせい)は、私が火葬された時に一緒に燃えていきます。ふふ。
@nonya
nonyaさん コメントありがとうございます。
うん、刺青(しせい)のインディゴは夜空の色。晴れている夜空をじっと見つめると、その夜空の色ってインディゴっぽいかなぁ、と感じます。大気のせい?なのかなぁ、と。まぁ、もっと夜空を見つめれば、夜空の色はもっと濃いとは思いますが。
nonyaさんが この詩からそのように すてきに感じてくれて うれしいです。ありがとうさま。
うん、愛や愛することって、深くて哀しいことなんだろうと思いますね。その辺の思いなどもnonyaさんが汲んでくれたことが ありがたいです。うん。
左手薬指に刻んだこの刺青、という冒頭のフレーズにまず惹き込まれました。…指に刺青。そこから、宇宙へとイメージが広がっていく。刺青と宇宙とのあわいに、互いの命が解けていきます。奥の深い詩世界だなと思いました。
@長谷川 忍
長谷川さん コメントありがとうございます。
冒頭は狙いでした。しかしまあ、世間では刺青(私は、いれずみ(入れ墨)とは言わないんですよ。これは「しせい」です。)を嫌う人もいますね。私の場合、ファッションで入れたわけではありませんが、世間ではそうは思わないほうが多いのかもしれませんね。私は恋愛も結婚もしません。この刺青(しせい)を入れる時にそう決心しました。
でも、刺青には、願いを込めて入れる人が居ると思います。そこに宇宙とのつながりがあってもいいと思うのです。
長谷川さんが、この詩を奥の深い詩世界だと思ってくれて、ありがたくうれしいです。ありがとうさま。