恋文
それはまるで恋文のようだった
内側から溢れ出た
私の核を認め
輪郭をなぞってくれる
これから一冊の集大成になろうする
ポエジーの雫を
余すことなく
初めて呑んでくれた人の言葉は
忘れていたときめきを
思い起こさせ
心拍数が上がり
ドーパミンが流れるのを感じた
久しぶりの感覚に
自分の支柱は
やはりこれなのだと
歩んできた軌跡に
一枚、一枚、落としてきた
断片を拾い集める
織り込まれた
時間の厚みさえ
掴んでくれるその人に
すべてゆだねて
世に解き放つ
恋文を信じて
コメント
嗚呼、なんかこの関係性は読んでいる我々読者、第三者をもたまらなくさせる憧憬があります。
@あぶくもさん。コメントありがとうございます。これは昨年出した詩集『柔らかい檻』を上梓するまでに、お世話になった編集者への謝意を書いたものです。初めてゲラを読んでくださった編集者の方の感想に感激しました。
作者と編集者との関係は大事ですね。良き編集者か否かによって、本の出来上がり、完成度も微妙に変わってきます。言葉はデリケートなものだと思うのです。ゆえに、人の心を打ちます。
@長谷川 忍さん。コメントありがとうございます。編集者の方は、詩集として纏まった詩群を初めて読んで頂いた読者なので、その感想は嬉しく感激でした。
仰る通り、言葉はデリケートなので、扱うには細心の注意が必要ですね。