青い森の料理
森の中に眠る
ヒヒの腹を踏んで
スパイスのきいた新しい
料理を作る
女はすこしひたいを
見せている
女はすこし白い歯を見せている
ひとみを開いてごらん
神秘はゆっくりとめざめて来る
おまえは華の中に溶けている
青い森の青い
蝶は歌わない
女は唇をすこし開いている
女はすこし汗をかいている
その手は皿の上に踊る
ナイフとフォークは皿の上にひらひらと踊る
わたしは食べるのだ
青い森の青い
蝶は歌わない
おまえはわたしをスパイスを
ふりかける愛をわたしに森の夜は
黒いヒヒのはりつめた
ゆっくりと切り開く腹の
ナイフとフォークは皿の上に踊る
おまえはわたしを
食べるのだ
スパイスの良く効いた
新しい料理だおまえは
この青い森の
この青い蝶の
ひとみを指で閉じなさい
おまえの指先のうすいピンクの
爪は甘く
わたしはその青いひとみを
開いて眠るのだ
神秘の中に
そして神秘はゆっくりとめざめて来る
その爪は甘く
わたしの心臓のうすい皮を
ゆっくりと切り開く
青い森の料理を
スパイスの効いた料理を
今日はあなたと食べるのだ。
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