つゆくさの飛行機

つゆくさの飛行機

隠されていたものは
わたしたちを驚かすだろう
どんなに深く沈んでいようと
浮かび上がって来る
泥の中から
あぶくたちは見つめているだろう
こんなにも小さなものが
このてのひらの中に包まれていたのだ
明日と言う野原をわたしたちは歩いている
つゆくさの中を
草の葉のつゆの中を
足先を濡らしながら
思うままに青空に飛び立つだろう
流れて行くものは
口々に歌うのだ
何の歌なのか知らぬままに
空の点となり
無のあらわれとなり
隠されていたものは
この眼にあふれるだろう
まっすぐにわたしたちの前に
その愛ある姿を示すだろう
みどり色のくちびるを
さしだして
ゆるやかな旋回とともに
オリーブの木が育っている

あの日わたしたちは
タクラマカンの砂漠にオリーブを植えた
水筒の水を根元にかけて
愛しいおまえのくちびるにふれた
星たちはぎょうぎょうしい光を
砂の上に散らし
おまえは民族の切符を空に示した
あらわれたのは
つゆくさの飛行機。

投稿者

岡山県

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