ユピテル・ザウル・ダウク

命を見つめている花
一輪の白い花を挿してあなたを思う
冬のまんなかで
こごえる手に息を吹きかけながら
冬薔薇の棘だけが
わたしに向かって光っている
何から離れて行くのだろうか?
遠くへ行く者をわたしも
追っているのだろうか?

ユピテル・ザウル・ダウク

明日おまえは茶色いロバに乗り
ヒースの丘へ行くだろう
風は北東の風
白い石灰岩の石が風にめくれ
わたしたちは眼が開けられない
命が見つめている花を
命と見つめている花を
届けたいのだ
この青空と共に

ユピテル・ザウル・ダウク

草原に燃え上がる樹
肩にかついだこの大きな枯れ草の束
わたしは思うのだ
美しい薔薇の花が咲く頃に
おまえに会えるのだろうと
渦巻く銀河を心臓に詰め
小さなあかりとその光芒を願っている
タン、タン、タン、タン、と
小さな舟が行く
タン、タン、タン、タン、と
わたしの心臓が鳴る
 
ユピテル・ザウル・ダウク
ユピテル・ザウル・ダウク

こんな緑の深い森で
こんな静かな湖水の上で
わたしはおまえを待っている
わたしはおまえを待っている。

投稿者

岡山県

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