鯨の草原
光の芯にあるものは
からっぽなのかもしれない
愛すると言ったこの声が
ただの風の震えだったように
貧しさの余り
僕らはどこへ売られていくのかも知らなかった
自分という檻の中から
星の光を頼りに夜道を逃げる
瞳に映した海に
踊る夜
輝くのは言葉
かざした手のひらから零れ落ちる
「死のう」
君は言って泣いた
弓なりの背中に口付けて
月みたいに笑った
小さなたまごを水辺に生んで
青空は落ちていく
逆さまに光る神様の目の中で
転がった命
いきり立つ雲に見る
鯨達の眠り
彼らの怒りに触れて
やって来るものばかり眩しい
コメント
五連目と最終連目の描写に、ぐっときました。小さなたまごを水辺に生む。逆さまに光る神様。いきり立つ雲。鯨達の眠り…。底にいるものたちへの、かなしさ、苦みでしょうか。
@長谷川 忍
むしろ、底にいるものに惹かれます。
かなしさ、苦みを好む。
家族からはマイナーだと罵られることが多かったのでこっそり活動していたのですが、最近は受け止め方を変えられたようです。私が頑固なので(笑)
やっぱり、自分が愛しているものを書くと、伝わりますね。