髪ゴム

この扉あけたら
新宿だったらなとキミは呟いて
2時間3000円で買った ふたりの夢は
誰にも知られずに
なかったことにできる
自動ドアが白々しく開いた瞬間が終わり
まぶしいや
出るとやはり私の地元だった
駅前に一軒しかないラブホテル
高校生の頃からみんなここでセックスした
斜め向こうは親友が働いてたソープランド
錆びついた スナックの看板
空き地
空きテナント
シャッターがおりた商店街
パチンコ屋
そこを流れる潮の匂い

一瞬で過ぎ去る夏も
豪雪の日も
待ってたんだけど
いつしか来なくなった
風の便りで結婚したと聞いた

後ろからしてる時
髪を束ねた髪ゴムを 
彼はそっと外した
なにか所帯染みていて嫌だったのかもしれない

結婚相手はロングヘアだろうか?
後ろから
彼女の束ねた髪をほどくことが
あるだろうか
わたしのことを
ふと思い出すことが
駅までの道を歩いた
町の匂いを

思い出さなくていい
夢だったんだ

投稿者

東京都

コメント

  1. とても寒いですから、道が凍っています、だから、太陽の光が、当然のように、古びたビルを、照らします。この実在。この明るさ。眼は世界を見ています。当然のことですが。

  2. キーとなるこのアイテムを題にされたのは良いですね。

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