信仰
「天皇だってヤルことはヤッてんだぜえ、あんな顔でもさ」
僕より年下の少年が
子供の首を切断して校門に置きました
なんだかそれが悔しくて
負けたって感じがして
真夏の熱い夢の夜で
眠りました
「完全ってどういうものだと思う?」
「えらく哲学的だなあ、それは概念として?」
「いや、具体的な事物として、完全なるものとは何か?」
「まあ、普通に考えたら神とか仏とか」
「ふむ、でもそれは人それぞれの信仰心に依るだろうし、どちらかと言えば概念だよ」
「じゃあ、きっとアレだ、性器だ」
父親が不倫していました
僕は気付いていたけど知らないフリをして
母親が毎晩泣いている姿を横目で見ながら
マスターベーションを覚えたんです
とても気持ちが良い
世界はゴミだ
言うまでもなく実話だよ
詩とか関係なく実話だよ
殿元聖 14歳(当時)
で、
その頃の俺が何をしていたかっていうと
マスターベーションを覚えた少年が横目で見ている母親を毎晩泣かせている父親が不倫している女の子宮でまさに発生していたのだ
不思議だろう?
素晴らしき世界の寵児として
完全なる性器を通過しようとしていたのだ
「今まで誰もなし得なかった犯罪とは?」
「天皇を殺すこと?」
「違う、オマエあんまり歴史は得意じゃないな?」
「なんだろう、思い付かない」
「地下鉄をジャックすることさ」
その数日後
東京地下鉄に致死性の高い神経ガスが散布され
12人が死亡、5千人以上もの重軽傷者を出した
カルト宗教団体による無差別テロだということが判明し
概念として完全なる犯罪が遂に実行された
彼らが性器を信仰していたかどうかは不明だが
僕たち(俺たち)の結論は
「悪意とは最も人間らしい感情だ」という
わかりきったことで
戦後最大規模の地震が関西地方を攻撃し
「いくつもの尊い命が奪われた」と俺を堕胎したアナウンサーが言い
「皆様の辛い気持ちはよくわかります」と俺を裏切った父親が叫び
「アーメン死ね」と俺の狂った友人が歌っていた(ずっと先のことだが)
マスターベーションの概念で
ノストラダムスに祈りを捧げた日々
僕と俺は一人だけの対話の中で
より真実らしい事柄を探していた
「太陽は存在するか?」
「太陽など存在しない」
あ、これは書いたことだったかな
[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.065: Title by ぷらちゃん]
コメント
みんないつもありがとう。
いよいよラストスパート。三部作+新作でオレの投稿は終わりです。よろしくね。
トノモトショウ版のスローバックto ’95を感じて堪能することができました。
“God is a concept by which we measure our pain.”
一読、一見、衝撃的な内容なんだけど、「信仰」という題とリンクさせた内容は、どこか儚い真実のような気がします。
この詩には「性器」という言葉が出てくるけど、シヴァと関係あるのでしょうか?まあいいですけど、性器は命が通って来る所というので命と関係がありますね。完全かぁ、うむ。
私には難しいことばかりなんですが、でも、黙って通り過ぎてはならない詩の力がこの詩には存在しています(少なくとも私にとっては)。
まあ、なんやかんや少し言いましたが、語彙力の無さを棚に上げて言えば、すごい詩だ、の一言に尽きます。拝礼
凄まじいエネルギー。この詩のように私にとって読む価値のある詩、は多くはない。
あの世紀あの時代あの空気の中を生きた過ごしたやり過ごした僕(小生)としてはどういう形であれ遺しておきたいよねー自分の中での「信仰」の問題はここ5年ぐらいはのたうちまわっていますねー大袈裟ですねーあらゆる事象を「信仰」に結び付けていくとにっちもさっちもよっちゃんもいかなくなりますねー