冬の葬儀

とりあえず神様がいると仮定して
その上で天使と悪魔が対立している前提で話をしよう
どうでもいいがその貧乏ゆすりは直した方が良い
左手の薬指の婚約指輪と同じくらい大事なことだ

僕には世界が破壊されるべきものに見える
自分がそうされたいと願っているからだろう
周囲の人間は自らの思いが愛だと軽はずみに言う
破壊こそ愛だ
答えが出る度に僕は死にたい

学校ではしきりに優秀な人間とそうでない人間を分けたがるが
八百屋はほうれん草を売ることをいつ断ったっていいんだよ
上に立って全体を眺めまわしてこうだったと論じる仕事もあるが
彼らは忙しくて切れかけた電球も取り換えられない
或いは知らないまま
綺麗な手のまま豚を育てて潰すことはできない

世界は皿だったのかもしれない、象や蛇が守っているのだろう
知りたいと思うのは大事なことだ

君と出会って僕は世界に自分が一人ではないことを知る
家族がどれだけ僕を虐げ君が僕を虐げているかを知る
自分の命と引き換えても構わないと思う大切なものの名前を愛と書けば、
これまで自分が書き続けてきたものが憎しみだったと知る
どうしようもない、間違っている、誰のせいでもなく、書き直すことも許されない、

神様

愛について考えよう、と言おうとしてまだ言葉はある
隣室の早乙女さんが朝の六時にはまだ起きて来ないのを知って
静かに静かに朝ごはんを食べる
殴り合いの喧嘩に発展するものを絆と呼んではいない
昔も今も、人は、本当の優しさに金を払う

とりあえず神様がいると仮定するんだ
その先に何が存在しようと僕は生きている間には知覚できそうにないが
まあそれはそれで仕方ない、僕は馬鹿で間違っているし、それに、
今は必要なことをするべき時間だ
僕らにとって
まだ間違えていない君たちにとっての正しい世界のために
多分まだ生きていかなくちゃならない

夜の方が何もかも分かった気になれるのに
働くために朝から起きているなんて
馬鹿みたいだと思われるだろうか
いつかは人間になれそうだな、って慰められたら
それでもまだ笑うだろうか

右手だけが冷たくなるんだ
頭の良さってなんだと思う
君にとっては何もなくって
僕にとってはあるものって
なんだと思う

投稿者

神奈川県

コメント

  1. いい詩です。神は仮定でいいのです。それ以上を求めても、わたしのものにはなりません。いい詩を書いていれば、神は仮定でいいのです。

  2. @坂本達雄
    いつもコメント有難うございます。体調が悪くなると言葉数が増えるんです。不思議です。

  3. 宗教や哲学は置いておいて、とても好きでした。

  4. @timoleon
    有り難うございます。嬉しいです。

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