追憶

ジョギングしていたはずなのに

ふと気づいたら裸足で波打ち際に立ち

膨らむ海の 波頭を目で追っていた

波が足首を浸し僕は地球にめり込む

その感覚にのめり込み 蹠で砂を握りしめる

両の手を空に広げた僕はアンテナと化し

宇宙の力を受信する

たいてい僕らはE=mc² の意味さえわからずに

自分たちに授けられた膨大なエネルギーに気づかずにいる

それでも僕らは蕩けた未来を継ぎ接ぎしながら

光の速度を超えてゆくのだ

ネジバナに二重螺旋

向日葵にフィボナッチ数列

自然は言葉なんかじゃなかった

猥雑さの中でさえ奥ゆかしくも優雅な

最後の最期はピカルディ終止と決めている

そうして僕らはひとつの頃を追憶しながら

光の速度を超えてゆくのだ

投稿者

千葉県

コメント

  1. (分からない言葉は検索をしてみたけれど)むつかしいことは私には分かりませんが、この詩から詩の強度の高さと希望を感じます。

    宇宙の力を受信する

    光の速度を超えてゆくのだ
    という詩の言葉が特に好きです。その言葉から、じーんと感動もしました。すてきです。

  2. @こしごえ
    さん、ありがとうございます。
    私も物理はまったくわからないんです。でも、こしごえさんにじーんと感動してもらえたなんて嬉しいです。

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