梅林
ささやかな梅林をすぎるとき
すこしばかりたたずみて
彫刻された地表の神々を見る
清水の湧く谷間の
ガラスの時計台が水滴のカノンを響かせる
注視する紫紺の平均装置は
この森の中央から下流域の湿潤地へと
我々の通過するパイプの通路となる
地球規模の管の世界
知識的温暖化が海中のプランクトンをゆする
ミルクの眼をした未来の人間たちが語る言葉は
さらさらと砂のようにカクテルの色に染まりつつ
顔は合金の乱反射する謎のままに
地球はオリザの統合理論をすみやかな風景とする
きらめくものは、子午線の直接する温度と
キメラからの頭部を常なる回転とする
巨大すぎるもろもろの都市の太陽
発熱する河津桜
髪にリボンをつけた支配人が
機械的料理を彼等に食べさせている
すべては温度によって支配されている
公開された人類の思考図は
莫大な熱量をもって地下水を移動させる
大陸のエネルギーが人体のカロリーとなる
ひとりのピエロが
火山地帯にテントを立てている
彼の泪でラクダのような都市が上流へと運ばれる
漆喰のカバ、オパールのすべり台
浸水式のタチアナ
それらはすべて
我々のまちがいである。
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