ブラインドデート
車のハンドルを握ったとおもったら
もう目的地についていた
そこはずいぶん前に使われなくなった
小さな遊園地で
まだかろうじて看板の文字は読めたが
訪れるものもなく、しずまりかえっていた
誰がわたしをよんだのかわからないまま
少し離れたところを流れる川の
小さなせせらぎをききながら
しばらくひとり待ってみる
けれども12時をまわっても
待ち人らしい人は現れなかったので、
近くにあったティーカップの中に
おもむろに座ってみた
くすんだピンクのそれは
砂ぼこりでじゃらりとしていたが
奇妙に落ち着く場所だった
しばらくそこでやすんでいたが
それにも飽きたので
車に戻り
ハンドルを握ると
今度は普通に運転しなければならないようだった
ややめんどうな気持ちで
ギアをパーキングに入れ
ナビに住所をうちこみ
やれやれと
バックミラーを確認すると
くすんだ遊園地の看板がさかさ文字に見えた
その瞬間をわたしは
以前も見たような気がしたが
それもすぐ
エンジン音にかき消されて
消えていった
そうして
今はいないだれかとともに
わたしはその遊園地を
あとにした
コメント
あくまでそれはここだけの話、それもそのはず、この公園は太陽と反対側にある、反地球だと言えるもの、それにしてもわたしは、なにをさがしているの?あくまでそれはここからの話。
@坂本達雄
坂本さん、素敵なコメントありがとうございます。
「あくまでもそれはここだけの話、それもそのはず・・・」というお言葉から
何かまた違うお話が始まりそうで、とても楽しくなりました。
(「反地球」という表現には、なぜかどきどきしました!)
何をさがしているのか、何が言いたいのか、はたまたそもそもこれは詩なのか?と
自分でも混沌としたまま綴ってしまいましたが、
お付き合いくださり、ありがとうございます!!