Night songs

愛する人の誠意が
嘲笑う人の敵意と釣り合う時分に
大抵は皆お茶を嗜むことを覚える
やる気のない神の使徒と
有り得ない程下品な教えについて
数え切れない程の諦めを感じながら

この世はまず金で動き
人はその金を生み出すものを説いて
伝えきれずに死んでばかり
言葉は足りな過ぎる
真夜中の光の下で
その人自身ではないもの
彼を形作ろうという先人の心
水脈にその身を沈めて
はしゃぐ無数の死者の影が見えるだろう

ほら
言葉は悲しみを喩えることを諦められないでいる
抱き締め合おうとも
縊り殺そうとも
傍らに愛する人がいる限りは届かないことを知りながら
それでも未来を信じる心に恐怖し
呪いのような若さを憎んでいる

飴細工で出来た神の家に生まれ
道化師の恰好をした賢人にアスファルトの上を導かれていく
眠ったままの幼な子の
誰も知らない泣き声は
世界の終わりを知らせる合図
幾千の朝と夜を越えた道の先に始まるものを
君の名前で叫ぶ

投稿者

神奈川県

コメント

  1. 幾千の朝と夜を越えた道の先に始まるものを
    君の名前で叫ぶ
    この詩の、この最後の方の言葉に私は希望を感じます。

  2. @こしごえ
    最後の「君」がなければ見向きをされないことを意識しつつ書きました。自分の世界には常に他者が必要なのだと、ネットで公開する作品については誰かしらに呼び掛けることが多いです。
    希望が絶望に変わり、絶望が希望に変わる、変化も含めて楽しんでいただければ。

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