ノンオイル

環境が先か? 進化が先か? 
進化が先だ、もちろん
陸に打ち上げられてしまった後で
魚が肺を身につけられるだろうか?
環境の変化が進化を促すなどとは寝言だ
進化しなければ環境を変えられないのだ
そして環境を変えられなければ進化は無駄だ
肺は深い海の底では無駄だ
浅瀬まで不格好な肉鰭で這い登らねばならない
深海の底から何万年這いつくばって進み続けただろう
予兆がやがて訪れる
それは海底にはなかったものだ

朝の光と月の引力
寄せて引く波

おれたちだって予兆は感じている、いま、
太陽がフレアを吹き上げている

だが、光の周期的な変動が
肺を備えよというメッセージだと
海面はもうすぐ過去の限界となる、
眩しさはその先に行けるという啓示だと
きみのそれが証拠だと
おれはきみを信じ切れる自信がない

光、引力、
波。

答えは肺だ
無駄を備えていたものだけがその先に行く資格がある

効率を唱えていた連中はいまも効率よく大洋を回遊している
そして効率良く缶詰になってスーパーの棚に並ぶ
おれは缶詰が好きだ
いくつも積み重ねられる規格化された姿を美しいと思う
誰も答えを知っているものはいない
缶詰がいつの日か肺を備えることを願う

投稿者

北海道

コメント

  1. これもまた示唆に富んだ詩ですね。私も「環境の変化が進化を促すなどとは寝言だ」と思っています。「無駄を備えていたものだけがその先に行く資格がある」これは慧眼。メモメモ。

  2. ツナ缶愛の話かと思いきや、タイトルと呼応して脱化石燃料の話か、いやそれも違うのか、つまり聞こえの良い「効率化」を遮二無二行う政治や社会や経営へのアンチテーゼか、いやそれも違うのか、結局わかってへんのかーい、でも好きな詩です。

  3. @たかぼ
    あ、寝てた。ゼッケンです。たかぼさん、こんにちは。
    >「無駄を備えていたものだけがその先に行く資格がある」これは慧眼。メモメモ。
    メモっちゃダメ。メモるまでもなく、ゼッケンの作品にコメントをつけてる時点でたかぼさんは「その先に行く資格」があります。まあ、資格だけあって、それが何の役にも立たないことはよくあるわけですが。
    だいたい、私の言うことなんかすべて作品の演出上のことですので、なにも示唆してないですから。なににも富んでない。富んでいたとしても富栄養状態で赤潮発生です。
    ニーチェに批判されるワーグナーみたいな俗物です。褒められたいだけで思想なんかないゼッケンです。でも、また、お話しましょう。

  4. @あぶくも
    全部正解。あぶくもさん、こんにちは。ゼッケンです。
    ツナ缶愛、脱石油、社会へのアンチテーゼ、どれも正しい。
    私自身はどれも意識的に書いたつもりはないけどね!
    結局わかってへん、でも好きっていうのがいちばんうれしいです。
    詩書いてる人はみなそうでしょうけど。

  5. @Yatuka
    >シンプルですね。ツイッター見てるとこんな話がいっぱい流れてきます。
    >ニュアンスがうまく伝わると良いのですが。
    ネットで捕獲したニューエイジかぶれの説教臭いおじさん一匹を虫かごに入れて微笑ましく眺めています、というニュアンスが伝わってきます。被害妄想? ええ、そうでしょうとも。ゼッケンです。やつかさん、こんにちは。
    でも、面白がってくれたのなら、わたしはいっこうにかまわん、です。

コメントするためには、 ログイン してください。