地域猫
表札が「木戸」とある
ここで きみはご飯をもらっていて
今日も玄関先で眠っている
この間は玄関ドアの傍に並んだ鉢植えに身を寄せて
うずくまり日なたぼっこ
きみの瞳が小路へ向いてるときも
あるよね
「やあ、三毛ちゃん。」
膝をついて かざす右手に
きみは短く鳴いて小さな頭を掌へ寄せてくる
そんな仕草の可愛らしい
僕の脚に痩せっぽちな からだをスリスリさせて
かまって欲しいときもあるみたい
きみの白く濁った瞳は目ヤニの付いた青緑色
喉にグルグルと何かの引っかかる様な
かすれる声
病気なのかな?
今日は玄関スペースに停められている単車の
バイクカバーの上で丸まって
よく眠っている
声かけずに行こう
小路の並木は三分咲き
きみと何度目かの春だよね
いつまで迎えられるかな
コメント
いろいろな事情などで猫しゃんと一緒に暮らせない(猫しゃんを飼えない)というのもあるでしょうね。なので、猫しゃんに地域で暮らしてもらう。
この詩では、地域の人(この詩の話者など)が猫しゃんをあたたかく見守ったりしている様子が伝わってきてすてきです。
@こしごえ 様へ
お読みいただき、ご感想をくださってどうもありがとうございます。
「猫しゃん」と、おしゃるのですね(^^)…。
そうなのです、この作品は勤め先の近所のお家に
いつも居る、里親がみつからない三毛猫の実話です。
タイトルには、言葉にできない色んなおもいを…
落としてみました。
読み取ってくださって、とても嬉しいです。
私もお散歩途中やジョギング風景の中に、地域猫と思しき桜耳の猫さんたちと会いにきている人たちをそこかしこで見かけます。この詩の冒頭の「木戸」という表札と、名前もない猫さんの対比のようなものを感じてしまいました。
@あぶくも 様へ
お読みくださったご感想のコメントを、どうもありがとうございました。
作品の冒頭に「木戸」と持ってきたことの読み取っていただけましたこと、
たいへん嬉しいです。(*^^*)
実は、この詩は…石垣りん様の代表作「表札」に影響を受けました。
おっしゃってくださいました通り、さりげなく対比させました。