春の散髪

手首の温かさを
どうやって冷まそうか悩むほど
子供の頃から
母は私が白いことを
とても喜ぶ

伸び続ける爪
伸び続ける髪
伸び続ける骨
伸び続ける魂

人は何を思って
美しいという感傷を
病のように
崇めているのだろう
光が窓から
あふれている

いつかこの老廃物たちは
私の肉だった
その時のことを覚えているのは
心無い機械だ
慈悲深くて謙虚だが人間ではない

カメラを片手に川へ行く
財布を片手にコンビニへ行く
カバンを背負って会社へ行く
思いを捨てに海へ行く

詩人には
犯してはいけない罪が
言葉を知らぬ者よりもずっと多い
分かっているから
決して足を止めない

愛しているよ
君のことも
氷のように冷たい目で
一番痛い所へ
爪を立ててあげる

投稿者

神奈川県

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