青鷺

勤務先の敷地内にある貯水池
冬が訪れる前に刈られた水草の
アシかマコモか
つんつん と緑
 日ごと明るさを増す

今朝も彼は来ている

水面は湯呑みに注ぐと後味の
渋めかもしれない煎茶の様な色をして
伸びてきた若草がちょうど
彼の青灰色した全体を半分だけ隠しているのだ

池の中央から外れた あそこが
定位置なのだろう
じっくりと動かないで前方を見据えている
鷺の横顔

池のほとりには一本だけ
芽吹く柳のまろやかに萌え立ちて
ほとんど無いような風に枝を垂れている
午前八時十分過ぎるのを腕時計で確かめて
立ち去ろうとした時

凛然と 彫刻の様でいる彼の
すっくりと伸びていた首が艶めかしく捩れて
後方を見遣り
また前方へ頭を戻した
なんと それはさり気なくも
生き物臭い仕草に見えて

今、足が行くのを惜しいとおもう
この緑すかして ゆらめくものの雄々しさに

投稿者

滋賀県

コメント

  1. この詩の青鷺の存在感があるのと同時にこの詩の強度もあってすてきです。この詩を拝読していて素直にたのしいです。

  2. @こしごえ 様へ

     読んでくださって、ご感想のお言葉を寄せていただきどうもありがとうございます!
    この作品を「素直にたのしい」と、おっしゃってくださいましたことが、私には最高の
    「ほめ言葉」として心に響きまして。たいへん喜んでしまいました〜。(*^◯^*)
    本当に嬉しいです。ありがとうございました!

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