切り花
冷たすぎない 水の入った硝子の花びん
丸くしぼんで頭を垂れた
二本のガーベラが生けられる
それは夏の日、
駐輪場の傍道に
ビニール包装されたまま
三百円の値札を付けた 落とし物だった
萎びた茎にまだ
みずを 吸い上げる力が残っていて
ゆっくり頭を持ちあげてくる
艶を奪われた自分の色など 分からず
もう一本は 花びらを開くこと
出来なくなってしまっていて
ひたすらに今枯れつつも枯れ切るまでを
咲き続け
咲きつづける
すがた断つことに
生命がきりりと鳴って虚空へむかって飛び去るのだろう
コメント
「生命がきりりと鳴って虚空へむかって飛び去る」という表現が強く印象に残りました。
@たかぼ 様へ
お読みくださって、ご感想のコメントを寄せていただきまして
どうもありがとうございます!
この作品の一番力を入れました最終連、最終行はこれしかない!
と、自分で思った表現でした。だから、たかぼ様のお言葉がとても
嬉しかったです。ありがとうございました。(*^^*)
切り花の描写に、ふと、人間関係の、果ての姿を重ねてみました。花は、人の姿であり、魂であるのかもしれません。
最後の行がもう何だかたまらないですねえ。私も長谷川さんのコメントと同じく擬人化された物語を感じました。
@長谷川 忍 様へ
お読みくださって、ご感想のお言葉を寄せていただき、
どうもありがとうございました。(笑)
わたくしも、どんな花でも…目にいたしますと…おもうところがございます。
ひとのすがた…、魂をそこに感じるのです。
@あぶくも 様へ
読んでいただけまして、ご感想のお言葉を寄せてくださり
どうもありがとうございました!
この作品は、さまざまな想いを…言葉へ託して書きました。
擬人化された物語、そのように読み取っていただけました事を、
とても嬉しく思います。(^ ^)