夜の航路を

どこまでも
飛んでゆく
真夜中の深い大気の中
まるで空に溶けてゆくように

見下ろせば 闇の中に
点在する人間の光
活動している命の温かさが
伝わってくる

エンジンの音は
いつも何かを思い出させる
やらなかったこと
やったこと
愛する人
そして今ここにいる自分

夜の闇はいつも
ひとりの私を浮き彫りにし
ここにも一つの
息づく命があることを
教えてくれる

長い航路の果て
しだいに空は光で色づき
夜明けの訪れを知る

明日という新しい場所へ
今、辿りついたのだ

投稿者

東京都

コメント

  1. 20年前にぽえ会に投稿した詩を失礼いたします。昔、「夜間飛行」というサン=テグジュペリの小説を読んで、自分の感覚だけが頼りの、当時の孤独な飛行を想像しながら書きました。

  2. 感覚だけの飛行はとても恐ろしいですが、感覚を磨いた人々にとっては使命なのでしょうか

  3. 那津na2さん、コメントありがとうございます。スマホについ頼ってしまう現代人より、昔の人は生き延びるための感覚が鍛えられていそうですね。でも夜間は目印が見えず、命がけの飛行だったと思います。危険な不時着を経験しても、やはり死ぬまで飛ぶことを選んでいたので、空を飛ぶことに使命感を感じていたのかもしれないなあ、とコメントを拝見して考えさせられました。

  4. 闇があるから光を感じられること、思い出します。
    “ここにも一つの”
    私にはとても印象的でした。

  5. @たちばなまこと
    たちばなまことさん、コメントをありがとうございました。闇があるからこそ光を感じられる、という言葉、本当にその通りで、いろいろなことに当てはまりそうですね。そして、自分も暗闇を照らす、小さな一つの光でありたいなあと思います。

  6. 見下ろした視点の儚さというか、定まらなさというかが印象に残りました。

  7. @あまね/saku
    あまねさん、見下ろした視点の儚さ、定まらなさに着目して頂き、ありがとうございます。夜に飛行機に乗って地上を見下ろした感じをふと、思い出しました。自分の存在の小ささや儚さとともに、その時の悩み事も小さなことに思えたりしました。飛行機に乗ると、視点が変わりますね。

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