夜の航路を
どこまでも
飛んでゆく
真夜中の深い大気の中
まるで空に溶けてゆくように
見下ろせば 闇の中に
点在する人間の光
活動している命の温かさが
伝わってくる
エンジンの音は
いつも何かを思い出させる
やらなかったこと
やったこと
愛する人
そして今ここにいる自分
夜の闇はいつも
ひとりの私を浮き彫りにし
ここにも一つの
息づく命があることを
教えてくれる
長い航路の果て
しだいに空は光で色づき
夜明けの訪れを知る
明日という新しい場所へ
今、辿りついたのだ
コメント
20年前にぽえ会に投稿した詩を失礼いたします。昔、「夜間飛行」というサン=テグジュペリの小説を読んで、自分の感覚だけが頼りの、当時の孤独な飛行を想像しながら書きました。
感覚だけの飛行はとても恐ろしいですが、感覚を磨いた人々にとっては使命なのでしょうか
那津na2さん、コメントありがとうございます。スマホについ頼ってしまう現代人より、昔の人は生き延びるための感覚が鍛えられていそうですね。でも夜間は目印が見えず、命がけの飛行だったと思います。危険な不時着を経験しても、やはり死ぬまで飛ぶことを選んでいたので、空を飛ぶことに使命感を感じていたのかもしれないなあ、とコメントを拝見して考えさせられました。
闇があるから光を感じられること、思い出します。
“ここにも一つの”
私にはとても印象的でした。
@たちばなまこと
たちばなまことさん、コメントをありがとうございました。闇があるからこそ光を感じられる、という言葉、本当にその通りで、いろいろなことに当てはまりそうですね。そして、自分も暗闇を照らす、小さな一つの光でありたいなあと思います。
見下ろした視点の儚さというか、定まらなさというかが印象に残りました。
@あまね/saku
あまねさん、見下ろした視点の儚さ、定まらなさに着目して頂き、ありがとうございます。夜に飛行機に乗って地上を見下ろした感じをふと、思い出しました。自分の存在の小ささや儚さとともに、その時の悩み事も小さなことに思えたりしました。飛行機に乗ると、視点が変わりますね。