少年死す
少年とは言葉だけの存在であるか
君はただ星空だけの存在であるか
奇妙に肌寒くなる春の夜のために
高原でもなく水源でもなく、格闘が好きである
組み伏してそのくちびるを奪うことを
カラフルな頬の色をたしかめるために
組み伏してそのむないたをたしかめることを
河風は柳の下を通過するベーゼのように
水牛の背にまたがって河をわたろうとする
大地に耳を当て、呼吸するこの星の
心臓の音を聞こうとする、その時には
君は少年であるか、そして神秘の森林の静まる声として
かまわずに、さりげなく、そのくびすじに声がする
あらゆる時間のはいごから、星はその光を与えるだろう
水仙の、睡蓮の、はたまた氷の塔が立つ場所で
少年よ、生粋の蛇の腹のように手にふれる
たわいのない感覚の白濁である
そのはじめから、そのおわりまで、青空を淫している
言葉では君は愛せない
すなわちそれは大空のエンジンである
少年よ。
コメント
この少年の死は小さな死なのでしょう。ところで、彼がなにと「格闘」しているのかが気になりました。影だったのかもしれません。
おおくのばあい、彼はすでに死んだ者とたたかいます。そしてもっと多くのばあい、彼は同志とたたかいます。さらにもっと本質的には、彼は虚無と、たたかうのでしょう。そのような少年の春のあくびです。