影の詩

いま
わたしは
まよっている

地平線まで続く長い一本の道に立っている

むかし
そこに
まちがあった

わたしは一人ひとが生きて死ぬ迄を見ていた

ねむるたび
こどくにふるえ
おんなをあいした

神がまだひとの目に見えていた遥か昔から

しはありつづけ
こえはひびき
なぐさめはかなしい

眩しい朝も降りだす雨も皆去ってしまう

いま
わたしは
めをとじて

この道を歩いていくわたしの後ろ姿を追う

やがて
あなたもまた
わたしのてをはなれ

ゆっくりと

あるいは
わたしが
そのてをはなし

ゆっくりと

募る言葉の影だけが伸びてゆく

投稿者

神奈川県

コメント

  1. 誰かがいるようでいて、孤独なのが人生なのかもしれませんね。儚くも確固とした一本の道をイメージしました。

  2. “募る言葉の影だけが伸びてゆく”
    日が上り沈んでの繰り返しの事象がそこには在って、語る者は立っていて移動はしていないと認識して、そういうことも多様性だし、おんなはははかもしれず、あいしている側の性別なんて気にしなくて良いし…などと、とめどなく溢れる思考状態になりました。

  3. @あまね/saku
    孤独を感じることから、自分の創作は始まったと思います。孤独の対義語は愛なんでしょうか。有難うございます。

  4. @たちばなまこと
    友達だろうが母親だろうが恋人だろうが、「愛している」で括ってしまえる自分の言葉の乱暴さをひしひし感じます。きっと文豪は皆話し言葉、嫌いだったんじゃないでしょうか。不必要な書き言葉まで欲しいなんて、ないものねだりですかね。有難うございます。

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