1829

あなたが愛した花の数
人が殺した人の数
子供が願った神の数
月が昇った夜の数
灰の羽毛に包まれた
望みを知らない鳥の数
折れてしまった牙の数
指先に留まる蝶の翅
食べ切れなかった皿の数
目的地までの徒歩の距離
通り過ぎてく羊の頭
変えられなかった死の定め
私が殺した神の数
人が愛した月の夜
花が祈った夜の数
祈り続ける花の数
震える心に刻む傷
零れ落ちてく涙の雫
雨を降らした雲の数
月が沈んだ空の数
謝り続け記号に変わる
哀れな人の哀れな名

投稿者

神奈川県

コメント

  1. 切なさ悲しさのようなモノが詩行の流れに乗り次々とこちら(読者の私のこころ)に迫って来るところがすごいです。

  2. 1829っていう絶妙な数字を、絶妙に解釈してるのが良いですね。徒歩の距離ならそんなに遠くないけど、愛した花の数なら多い気もする。1829円なら端金だけど、1829冊の本を読むのは大変。難しいタイトルでも解釈のアプローチでこうも違うのかと感激しました。

  3. 初めの二行の対比に心掴まれて一気に最後まで行けました。数えれば1829という解釈は素敵ですね。あの夜君と触れ合った秒数、ならまったく足りないけれど。

  4. これ超好きです。
    今まで書いた詩の数ってこれくらいかもなあ。
    それぞれの数がYatukaさんの色を帯びててそれも良いです。

  5. @こしごえ
    数のことを考えると、とても悲しい気分になります。
    多くもなく、少なくもない二千に届かないその量が切なく感じられたのかもしれないです。
    有難うございます。

  6. @トノモトショウ
    まず思い浮かんだのが『1Q84』と似ているという点だったので、
    年代のイメージとは違ったものにしよう、と。ひねくれています。
    締めくくりに悩みました。
    有難うございます。

  7. @あぶくも
    同じタイトルで一斉に書く時、誰がどんな解釈をするかを知らない感じが好きなので、
    まださらっとしか他の方の作品に触れていません。ここでライオンの交尾時間は三秒だというトリビア。(ほんとかな)
    有難うございます。

  8. @たちばなまこと
    数をとうとう名前にしてしまったことが、人の悲しさの最たるものだなー、と最後に置いてみました。
    イベントの企画、お疲れ様です。これから私も他の皆様の作品も読ませていただこうと思っています。
    有難うございます。

  9. 私が殺した神の数

    グサリと、来ました
    ありがとうございます

  10. 詩の中で描かれている「数」の集積に、作者の、思いの丈、がぎゅっと詰まっています。その集積が、1829なのだなあ…。記号という言葉だけでは言い表せられない、情感が詰まっていますね。

  11. 刺激的でした。

  12. @那津na2
    同じ世界で生きているとは思えない程、色んな思想を持った人々がいて、
    いまだに神様が争うことすらあるのが切ないです。
    有難うございます。

  13. @長谷川 忍
    考え出すと自分の手に負えない何かになってしまうのです。
    文なら比較的心穏やかに創作できるのですが、数となると難しかった。
    有難うございます。

  14. @あまね/saku
    書いている間ずっと頭痛がしていました。そして、今も読めません。
    有難うございます。

  15. コメント失礼いたします。

    色んな数に圧倒されます。多ければくらくらしますし、少なければそわそわしたり。その逆も。
    数と程よい距離感を保ちたいです。

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