恋文

一言
たった一言

君に言いたくて、伝えたくて
それでいて
君に言えなくて、忘れてて

その言葉を探し出すのに
どれだけの時間を使っただろう
その言葉を口に出すのに
どれだけの汗を流しただろう

とてもありきたりな言葉のはずなのに
いつでも言えたのに

とても難しい言葉のように感じて
いつまでも言えずにいた

見つけた言葉は、たくさん
それでも光る言葉はどこにもない
両手から零れ落ちるほどあるのに

どこにもなかった
あったのに気付かなかった
気づかないふりをしていた

拾い上げた時には
もう手遅れだったのかもしれない
捨ててしまったほうが

箱の中にそっとしまって
ふと微笑んだのは、なぜだろう

いつか、これを渡す人へ
そっと、想いを込めて

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