孤独
何もする気にならないので
詩を書いていた
人は死ぬし
愛は憎しみに勝たないし
花が枯れて
世界はしょっちゅう終わっている癖に
何も始まらなかった
天使と神様が戦争を起こしに現れては
言葉を私に教えた
誰かを殺せ
そうすれば生きてもいい
間違っても
彼らになんて許されたくなかった
詩の中では
私はあまり笑わないらしかった
いつも悲しく
宵のように薄暗く
死ぬことを考えているように見えた
評価も
研鑽も
向上も
何処か遠い豊かな国のおとぎ話だった
そして
虚しく
私より先に父が死んだ
喪が明ければ
大体のことは思い出になってしまったが
私は
世界に何か見返りを求めることを知らなかったように
詩には何も求めていない
それが
父の遺したもの
詩は私のことも愛してくれる
昨日と同じように
明日も変わらずに
ここで
好きなように死ねばいい
疲れたら
また戻って来て
別れの挨拶を書く練習でもすればいい
父もそうした
名前のない月が昇る
夜がやって来る
立ち止まっていることに気が付いても
弔い
弔われる
何かする気になったか、と
退屈しのぎに
まだ自分に書いている
言葉になる前の風の流れを読む
明る過ぎて見えない
手を伸ばす
相変わらずそこに期待している影はない
どう転んでも
これが私の為の世界ではないことに
諦める
この言葉はあなたのもの
書き付けられた言葉の全てが
ずっとあなたのもの
自分の願いを叶えるような都合のいい魔法を
知らない
私達の悲しい呪文
あなたに
あなたに
そう壁に繰り返されるだけの愛の言葉
コメント
どれほどまでも、泥をかきまわしても、それを泥のせいにはできない、どれほどまでに言葉をかきまわしても、それを言葉のせいにはできない、水辺に立つペリカン、夕日とともに、水辺に立つ、ペリカン、言葉をなくしたペリカン。
@坂本達雄
何が起きても、自分がかきまわしてしまったことは変わりませんね。
ペリカンって鳩まで食べようとする大きな鳥ですよね。なんだかでも、
そういう正しさがペリカンを苦しめているんだろうな。