宝もの
染色体が一本多い周が
生まれて半年が過ぎた
ある夜の夫婦の会話で
まだ、りゅういん、が落ちないと妻は言う
りゅういん、が体の何処に
ぶらさがっているものか知らないが
りゅういん、を無理に
削ぎ落とすのではなく
りゅういん、に
この手をそっと当て
不思議な色に変わるのを、僕は見たい
悩める妻よ
周の可愛い可愛い寝顔をみつめる時
僕等を両親として
何処か遠い国から会いに来た周が
すやすや寝ている夢の中に、視えるのだ
世界にたった一人である周の
いのちの輝きそのものが
コメント
あまり言葉にはできないですが、親になると思うところはたくさんあります、その先も希望で照らして欲しいと思います。
2連目、作者のすてきなお人柄、そして色が見えて、いいですね。
ティモさん
ありがとうございます。
その先、は確かに大事なテーマで、息子の肯定面を思い、改めて親として今感じることに意識を向けたいです。
たちまこさん
ありがとうございます。
息子の障がいを受け入れつつ、この出来事には深い意味がある、という直観がありました。
りゅういん、とひらがなで表現されたところに、作者の人間力を感じました。2連目、いいですね。「不思議な色に変わるのを、僕は見たい」
この詩の肝は2連なので、嬉しいお言葉です。 書いている時の感覚で、ひらがなになりました(^^)
剛さん、こんにちは。この詩の題名「宝もの」と「りゅういん、を無理に/削ぎ落とすのではなく/りゅういん、に/この手をそっと当て/不思議な色に変わるのを、僕は見たい」「世界にたった一人である周の/ いのちの輝きそのものが」というところが特にすてきです。
その3つの箇所がこの詩を成り立たせていると、感想を読んで思いました。