芝居

淋しく咲く
咲くのだと思う。

 花に意思はないよ。

 どう咲くかは
 あなたの祈りではない
 望みでもない。

だから
舞台に立つのよ。

芝居は
意思というより
本能に近いかもしれない
祈っているわけではない。

 それは
 虚構なの?

 なら演じるって
 何…

虚構も
流れていくんだよ
葉桜の季節になると
それを実感する。

嘘も
移っていくのよ。

 嘘は、嘘でしかないさ。

今週末に
私の舞台があるのね
ちいさな、嘘
来てくれる?

 その頃
 もうこの世には
 いないかもしれない。

いなくてもいいよ。

咲いてくれれば
それでいいよ。

投稿者

東京都

コメント

  1. コメント失礼いたします。

    嘘も本当も、どっちも同じものなのかもしれない、と思いました。ただ、現実よりも虚構の中の方が、本当に生きている(関わっている)ような感覚も、あるのかもしれないなぁ、と思い耽りました。

  2. 不思議な会話ですね。役者さんが会話している相手は人間ではなく花なのかもしれませんね。芝居はまさに嘘を演じるわけですが、人生も一種の芝居であり、私たちは皆役者だとも言えるわけで、私たちの人生も、あるいはこの世の中も嘘と真実が入り混じった、移ろい行く現象なのですね。

  3. 空想ラビリンスに迷い込んだようなミステリアスな会話劇(これ自体がお芝居)のようですが、語られる内容はとても諸行無常を感じる魅力的なものでした。

  4. 芝居が本能でつく嘘ならば、人はその時だけは花に見えるのだろうか。。。
    花なのか人なのか分からない会話劇が少し哀しくて心に沁みました。
    人の世が嘘っぱちだとしても何処かに咲いている花をもとめて彷徨いたいです。

  5. @ぺけねこ
    ぺけねこさん、…そうですね、虚構になることで、見えてくるものがあります。嘘は、真。真は嘘。実は隣り合わせなのかもしれません。生は、不思議です。

  6. @たかぼ
    たかぼさん、会話詩というか、劇が好きで、時々書きます。現実から少しずれた展開?になることが多いかもしれません。普段、がちがちの現実を生きていますので、虚構を書くことで、生のバランスをとっているのかな。花を意識したところはあります。…花は、言葉を持たないけれども。

  7. @あぶくも
    あぶくもさん、会話劇が好きです。シナリオもどき?をいくつか書いたことがあります。たしかに、諸行無常を意識したところはありました。…嘘は、嘘でしかないけれども。

  8. @nonya
    nonyaさん、丁寧に読み解いてくださり、嬉しいです。演劇に精通しているわけではありませんが、芝居と本能、については、想うところがありました。虚構も含めて。書き始めた時は、生身の会話を意識したのですが、書き終えたら、怪しく?なってきました。創作は、そうなのかな。

  9. いなくてもいいよ。

    咲いてくれれば
    それでいいよ。

    咲く ことについて魅力的な詩だと感じます。私の(本名の氏名の名の部分の)名前が植物に関係する言葉なので、一層そう感じるのかもしれません。
    最後のところに絶大なる詩の強度を感じて嬉しくなります。

  10. @こしごえ
    こしごえさん、書き始めた時、花のイメージはそれほどではなかったのです。書き進めていくうちに、花が色濃くなっていきました。ラストの展開は、迷いました。こしごえさんに感じていただき、嬉しく思います。

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