ユニコーン
音ばかり
美しくない騒がしさに驚きまどい
書き留めてきた言葉は押入れの隅に埋没させ
うろうろと十余年も経ってしまって
そんな私が言葉を探して舞いこんだ場所
ネットの世界で言葉を紡ぐ貴女は
アイパッド開けば、いつも
そこに居て
その詩心はまるで
横雲たなびく空に消えゆく やさしい蹄の音
アジア大陸に幽かな闇のただよう暁との境界
そこだけがオリーブグリーンに輝く
高い山峰の頂に憩う
翼の生えた一角獣の姿を私は見る
空 明け染める時
その馬の白いたて髪が私の額に軽く触れ
その馬の羽が瞼をかるく撫でた
それは
さらさらとして
川のせせらぎの様な清潔な愛撫
やがてうつらうつら と
紺色の瞳した貴女に憧れ
微睡みの泉へ導かれる
つと私に触れて駆け去る銀色の馬に
貴女を重ね見る 私は
ベッドで目覚まし時計のアラームを消して
枕辺のアイパッドを、閉じるのだった
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