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隙間だらけのフェンスの
内側に閉じ込められて
ひしめき合う僕達は
柔らかく縛られた上に
ありったけの便利を与えられ
難しいことを考えなくても
なんとなく生き延びてしまう
そんな温くて平らな日々に
飽き飽きしてくると僕は
フェンスの隙間からはみ出して
こっそり風と光の匂いを嗅いでは
鼻の頭を日焼けさせて
中間色の服を着た彼女に叱られる
外側には「自由」という
自分の頭で考えなければ
生きていけない不毛の地があると
誰もが口を揃えるが
外側の風と光の匂いは
いつも僕の好奇心を煽り立てる
もちろん根も葉もある僕は
出来損ないのこのフェンスを
越えることすらできないが
これからもフェンスの隙間から
思いっきりはみ出して
「自由」を呼吸していたい
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