027

027

隙間だらけのフェンスの
内側に閉じ込められて
ひしめき合う僕達は
柔らかく縛られた上に
ありったけの便利を与えられ
難しいことを考えなくても
なんとなく生き延びてしまう

そんな温くて平らな日々に
飽き飽きしてくると僕は
フェンスの隙間からはみ出して
こっそり風と光の匂いを嗅いでは
鼻の頭を日焼けさせて
中間色の服を着た彼女に叱られる

外側には「自由」という
自分の頭で考えなければ
生きていけない不毛の地があると
誰もが口を揃えるが
外側の風と光の匂いは
いつも僕の好奇心を煽り立てる

もちろん根も葉もある僕は
出来損ないのこのフェンスを
越えることすらできないが
これからもフェンスの隙間から
思いっきりはみ出して
「自由」を呼吸していたい

投稿者

東京都

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。