牝 狐
帰る所が 無いならと
泊めてやったが 運の尽き
忽ち（たちまち）火が着く 危険物
溢れるものは 止められず
百戦錬磨の 牝狐（めすぎつね）
骨の髄まで しゃぶります
騙し（だまし）騙され 裏切られ
縒り（より）を戻せば 探り合い
漸く（ようやく）芽生えた その愛は
底が見えてる 甘い蜜
無情に蝶は 去るでしょう
蜜を漁りに 行くでしょう
そんなこんなで 青春の
プロスタグランド 枯渇して
後に残った 傷の華
後生大事に 守ります
コメント
傷、傷、傷、その指が、犯せしもの、ちらちらと、よみがえるもの、傷、傷、傷。
なんか昭和狂言ぽくていいです
半村で浮かれ騒ぎて玉すだれ
余興のつもりがシラケ顔
品を畳んで町に帰ろう
@坂本達雄
さん。ありがとうございます。薔薇の棘も時の砂にかかれば研磨され痛みを伴わない花の姿だけが残るのでしょう。
@足立らどみ
さん。ありがとうございます。ご提示頂いた狂言はその通りですね。私にも心当たりがあります。
牝狐というところがミソですね。あやしく力強い力をこの詩の牝狐から感じます。それはそう感じさせる たかぼさんの筆力の影響だと思います。
詩行から感じるリズムが心地好いです。
そして、
後に残った 傷の華
後生大事に 守ります
という最後の部分の詩の強度もすてきです。傷の華を 守る、というここから何か大切な精神などを感じます。
@こしごえ
さん。ありがとうございます。牝狐のあやしく強い力を感じて頂けたようで幸いです。