丁稚羊羹

我が家に
和菓子が
やって来た
仲良く二棹
丁稚羊羹

薄くて
細長
短冊形で
竹皮着物
着流すと
何処かで
カランコロンと
下駄の声

御所の北の
和菓子屋さんみたいね

百貨店でも
繁華街でも
ない
普通の町の
一軒屋

朱塗りの小さな銘々皿に
黒文字お供の御姿は
丁稚さんとは名ばかりで
栗の入った旦那さま

一口食べて
破顔すれば
みな平らげて
微笑する

八重の白雲

茶筅の音

閑かなり

投稿者

兵庫県

コメント

  1. コメントを失礼致します。
    私は、金沢の森八の羊羹と、虎屋の羊羹が大好きです。
    けれども、関西の地域によって味も異なり通常の羊羹
    より安価な丁稚羊羹も美味しくいただきます。(^ ^)

    拝読致しまして。御所の北 普通の町の一軒家の和菓子屋さんが、
    目に浮かんでまいります。
    また、作品からは心静かに和菓子を味わう楽しさ、慎ましやかな
    時空…を、感じます。ここに描かれている心持ちが、読後に私を
    豊かな気持ちにさせてくれました。どうもありがとうございます!
    とても素敵な詩だと、思います。(*^^*)

  2. リリーさんへ

    とらやさんも美味しいですね。
    京都の人は、とらやはんは天皇はんについて東京へ行かはった。って言われます。
    御所北のお店は、昔ながらの木の看板だけの質素なお店で、まさに京都です。
    おっしゃる通り丁稚羊羹は安価なのですが、この丁稚羊羹は栗入りで、見るからに高級品。
    食べるとその通りでした。
    美味しさの奥にある、手作りの職人の誇り、それを支えている京都人。そして伝統。そんな重みが伝わって来ます。
    まさに京菓子。
    ほっこりした気分が、伝わはりましたか。おおきに。

  3. この詩を拝読して、羊羹とこの詩の話者の様子が楽しいです。
    そして、最後の2行の
    茶筅の音

    閑かなり
    というのがとてもすてきです。

  4. こしごえさん

    声をかけて頂き、有り難う御座います。
    恥ずかしいと申しますか、照れくさいと申しますか。
    でも、心から光栄に思います。
    常に閑かでありたいのに、なかなか思うようには。
    でも、いいひとときで、ありました。

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