さらば蒼き風よ
突き抜けるような蒼い空でした
どこを見渡しても雲一つなく
雨や嵐の気配もなかったものだから
死ぬにはとてもいい日だと思いました
このまま消えるように眠りについて
本当に消えてしまえたとしたら
どれだけ素敵な終幕だったのでしょう
どれだけ素敵な人生だったのでしょう
出来ることならば誰にも悲しまれず
私のためだけの弔歌を歌いたくて
私のためだけの弔花を供えたくて
花の咲き誇る原野に寝転がったのですが
歌は風に攫われて逝きました
花は空へと散って逝きました
私が泣いていたのはきっと
それが無様だと思ったからでしょう
風はやむことを知らないまま
色々を機械的に攫っていきました
結局、私もその花びらに過ぎないのかな
そういう失意に襲われたのですが
たった一つ、名前も知らない花だけが
健気に咲いていたのを見て
生きてみるのも悪くないのかもな、
なんて思えたのでした。
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