こわれた虹

わたしが因数分解された時
それらの解は動揺する「かけら」であった
さもありなんと、今朝のアサガオが言う
藍色の花は少しも動揺することなく
しばらくはすずしい顔で余白を愛すると言う
君たちは当の昔に疑獄団を形成しているだろうから
わたしのながく伸ばした爪は歴史をほじくり返したりしない
そこでだ死者は唇を失い、カメレオンは舌を失い
あずまやの下で女は乳房を片方
朝の風に当てる
その行為はわたしの美の基点であり、母であり
すいついた乳房はうるわしい絵画であった
ホンジュラスの悪態たちが切り刻む
鹿の肉のたいへん美しい
そのままに
革命部隊へと編入された「ビアンカ」
そのままコンニチの悪態のまま
臍出しの正式な行軍である
そこでは褒賞のための国旗がふられている
将軍の誕生日にベッドの脇で待つ
ナイフと拳銃をぶらさげて
きりきざまれた肉は
鍋の中へなげこまれて
必然性のかぐわしい匂いと言う褒賞である
胸に飾るためのものは
いくらでも容易されているから
海へ行く時には乳房に飾ることとなる
わたしはそれを海水から製造された
いくつかの分子であると進言する
塩の結晶体のとけないうちに
ビアンカは包帯の腕を
兵器庫の少量の爆薬にふれようとする
それから一時間後
こわれた虹
それもまた美しい。

投稿者

岡山県

コメント

  1. 初めの五行は痺れました。

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