君を見た

君を見た

水晶にのみ映る君を見た

見てしまったのだ

新鮮な蝉の絶叫

気色悪い夏の蜃気楼

死に行く朝顔が

再放送されていく様は

やけに生々しい

十字路の後悔は

僕のスーサイドな脳を

優しく優しく練り上げた

君のその声が

耳に捨てられる前に

僕を殺してくれないだろうか

君は

甘くて

柔らかで

温かい

そんな地獄だから

きっと僕を赫さないで

この三文も満たないこの駄作を

先延ばすのだろう

そうやってエンドロールを待つ客の

コーラを温くさせるのだろう

君は

苦くて

硬くて

冷たい

そんな天国だから

時々会いに来てくれるのだろう

そうやって僕を生殺しにするのだろう

そうやって僕に期待させるのだろう

投稿者

滋賀県

コメント

  1. “ そうやってエンドロールを待つ客の

     コーラを温くさせるのだろう ”

    素敵な詩行だなと思いました。

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