夜のお散歩

浴衣姿で
夜の有楽町を歩いていた
巾着袋には
あなたがくれた
金平糖
缶の中でしゃらしゃら鳴ってる

薄暗いショーウィンドウ
ここ、昼間は行列なのよ
ムーミンショップを覗く
ムーミン谷のみんなは
役割から解放されて空な瞳
どっちがほんとうなんだろう
そういえば
あなた
スナフキンみたいなひとだと思っていたのに
ムーミンみたいなひとだった

缶の中の金平糖
二種類入ってることを
あなたは知らない

僕たちはたから見たら
夫婦みたいに見えるのかな
(たぶん、そうね)

金平糖は夢の形をしている
儚くて
一瞬の甘さをみせて
なくなってしまう

ぼくは十年後も
その後もずっと
きみをみていたいな
(たぶん、そこにわたしは)

帰りたくないと
駄々を捏ねても
終電は迎えにくる

目をつぶって
あーんして
ソーダ味はソーダの味がして
レモン味は味がしなくって
金平糖はソーダの味でおいしいねと
あなたは言った

わたしもソーダの方が好き

投稿者

東京都

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