女よ
風が散っていった
ウイスキーの琥珀に酔った天地に
男と女が愛し合い
いつの日か又
他人の様にそっけなく
だが にこやかにすれ違う
それが何なのだろう
ふと逢った人に心ときめかし
生々しい笑いの影をとどめる
おまえ
湿った口づけの悲しさを残さない
おまえ
果物の様な唇だと言った男の
髪をなでながら
(あたしの心臓はどうして踊らないのかしら?)
と 瞳をこらす
おまえ
嘆かなくとも良い
その笑いの生々しさを
天地のゆれるままに身をまかせ
風が散っていった
女よ
胸をひたと抱きしめ
いま
琥珀のグラスをかかげよう
コメント
リリー様
水溜りに映る自分の表情のように、歪み、頭の中のイメージの中で、何度も表情を変えて現れる「お前」その
「お前」との引いては近づく距離感を表す生々しい描写の中に、技巧と色気を感じました。
荒川濁流 様へ
お読みくださり、ご感想のお言葉をお寄せいただきまして、
どうもありがとうございます!
そのように、この作品を味わってもらえました事とても嬉しく、
思います。(*^^*)