ぼくのトンボ

ぼくのトンボ

ちびた鉛筆
のようなトンボが
風をひっかきひっかき
ぼくの背たけを測ろうとする

きょうのぼくは
すこし大きくなったかな

朝ごとに
ぼくのトンボは生まれてくる
水草の夢の
どろんこの中から

春の野は花ざかり
甘い香りに満ちているので
トンボはしばしば
風を見失う

ぼくは腕を伸ばして
背伸びしてみる
だが羽が濡れているので
まだ飛べない

投稿者

大阪府

コメント

  1. 最後の一連は何だか切なくて、とてもよいなと思いました。鉛筆で詩を書くのも、ときどきですが、好きです。思い出してしまいました。

  2. 作中の「トンボ」は、さまざまなものに置き換えられると思います。読者は、自分にとってのトンボを想像するのでしょう。最終連、いいですね。濡れた羽・・・。

  3. 竜野欠伸さん
    コメントありがとうございました。
    関係ないですが、トンボ鉛筆というのがありましたね。
    ぼくはいつも、ちびた鉛筆で漫画のようなものを描くのが好きでした。

    長谷川 忍さん
    読んでいただき、ありがとうございました。
    ぼくはトンボが好きで、トンボのようにスイスイ飛んでみたいと思っていました。
    それで、すこしだけトンボに化身できたかもしれません。

  4. 鉛筆とトンボがリンクしていて「おおっ」と思ったところから、描写にこころをくすぐられつづけました。

  5. たちばなまことさん
    コメントありがとうございました。
    なぜか筆箱の中には、ちびた鉛筆がいっぱい。
    近くの池でトンボ釣りなどしていた頃でした。

  6. こちらではお久しぶりです。春のたまらない幸福感に満たされました。
    母のようなぬくもりに守られて、何もかもに許容されている、
    そんな時代から、少しだけ遠いところに連れて行ってくれる鉛筆とトンボ。
    少年時代の絶妙な表現で、感動しました。

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