ぼくのトンボ
ちびた鉛筆
のようなトンボが
風をひっかきひっかき
ぼくの背たけを測ろうとする
きょうのぼくは
すこし大きくなったかな
朝ごとに
ぼくのトンボは生まれてくる
水草の夢の
どろんこの中から
春の野は花ざかり
甘い香りに満ちているので
トンボはしばしば
風を見失う
ぼくは腕を伸ばして
背伸びしてみる
だが羽が濡れているので
まだ飛べない
ちびた鉛筆
のようなトンボが
風をひっかきひっかき
ぼくの背たけを測ろうとする
きょうのぼくは
すこし大きくなったかな
朝ごとに
ぼくのトンボは生まれてくる
水草の夢の
どろんこの中から
春の野は花ざかり
甘い香りに満ちているので
トンボはしばしば
風を見失う
ぼくは腕を伸ばして
背伸びしてみる
だが羽が濡れているので
まだ飛べない
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コメント
最後の一連は何だか切なくて、とてもよいなと思いました。鉛筆で詩を書くのも、ときどきですが、好きです。思い出してしまいました。
作中の「トンボ」は、さまざまなものに置き換えられると思います。読者は、自分にとってのトンボを想像するのでしょう。最終連、いいですね。濡れた羽・・・。
竜野欠伸さん
コメントありがとうございました。
関係ないですが、トンボ鉛筆というのがありましたね。
ぼくはいつも、ちびた鉛筆で漫画のようなものを描くのが好きでした。
*
長谷川 忍さん
読んでいただき、ありがとうございました。
ぼくはトンボが好きで、トンボのようにスイスイ飛んでみたいと思っていました。
それで、すこしだけトンボに化身できたかもしれません。
鉛筆とトンボがリンクしていて「おおっ」と思ったところから、描写にこころをくすぐられつづけました。
たちばなまことさん
コメントありがとうございました。
なぜか筆箱の中には、ちびた鉛筆がいっぱい。
近くの池でトンボ釣りなどしていた頃でした。
こちらではお久しぶりです。春のたまらない幸福感に満たされました。
母のようなぬくもりに守られて、何もかもに許容されている、
そんな時代から、少しだけ遠いところに連れて行ってくれる鉛筆とトンボ。
少年時代の絶妙な表現で、感動しました。