ほんとなつ
少し埃っぽい、冷やりとした空気
もう、夏の盛りだというのに
昼間は外が明るすぎて、部屋が暗く感じる
窓際の特等席、今日も先客はいない
活字を追う程に首を垂れる、まるで著者に礼を尽くすように
そのうちに頬杖をつきながら、舟を漕いでいるのだけれど
ふと硝子窓に目をやると、青と緑と白が等分に並んでいた
木陰に潜む、地平からそびえる摩天楼のような積乱雲
蝉の鳴き声はいっそう騒がしく、閉め切った戸を震わせる
情熱的というのは、きっとこういうことを言うのだろう
読み止しの小説を、返却口に音もなく落とす
最後まで読まないのは、またここに来るため
夕立が怖いから、明るいうちに帰る
少し土っぽい、湿った風に追われて
コメント
夏の図書館、学校の図書室、その情景だけが懐かしい。文学を愛する者に、暑中見舞いを。