存在しないもの〈数〉

〈数〉は存在しないものである。それは時間の経過が存在しないように、幻想でしかない。
時間の〈現在〉を示すことが不可能であるように、〈1〉を示すことはできないのである。
〈現在〉を示すことが不可能であるのは、すべてが密着したものであり、その本体を切り刻むことが不可能であるからである。
〈数〉というものも同様に、本質的に切り離すことのできないものを〈分離〉させている故に、「幻想」である。
収穫された〈くだもの〉を数えている我々の行為は、何よりも「幻想」の入口に立つものである。
一対一の対応が可能である故に、〈ひとつの〉〈くだもの〉が存在していると考えているとしたら、それは実体とはかけ離れた理解である。
なぜならひとつのくだものは、いくつにも〈かじることの可能なもの〉なのである。
そしてひとつのくだものの〈味〉は、無限のバリエーションを持つものであるのだ。
わたしが〈それを〉〈ひとつのくだもの〉と理解しているとしたら、それはいつわりである。
それは無限の次元の中にあり、それは〈語り尽くせないもの〉であるのだ。
つまりわたしは〈それを〉完全には理解不可能なのである。

投稿者

岡山県

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