美味しい食事

カニ味噌を泳ぐ
珍しい形のしゃもじが
私をご飯にする
世界、と口にしてみる
人口よりも多い
イクラを数えながら
父は余生を送った
美味しかった、とだけ
書かれた遺書を見つけて
母は泣き崩れた
二人にしか
わたらないことがあった
夜中にふと目が覚める
昨晩の夕食からも
明くる朝の朝食からも
ここはとても遠い

投稿者

コメント

  1. @ひゃく
    ひゃくさん、コメントありがとうございます。自分ではそこまで意識しないで書いたのですが、父は絶対に食べなかったと思います。そんな父の厳格さが苦手で、そして尊敬していたのだと思います。書いた本人が言うのもアレですが、コメントを読んで胸に来るものがありました。ありがとうございました。

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