SLIPPING SLAPPING TOUGNE

南国のハイビスカスの花が揺れる
ラムネ色の波が
静かに押し寄せる前で
アグネス・ラムが
両手を広げ立っている

真っ赤なビキニ姿
彼女の笑顔から
真っ白な歯が輝いている

健康的な体と太陽が交わる
サンセット・ビーチ

問題は
人間の不完全さを
美しいと感じられるかどうか

そんな事を考えながら

ソウル・オリンピック
100m走決勝が
どういう訳か
脳裏に浮かんだ

ベン・ジョンソンが
人類史上初めての
100m9秒79で
ぶっちぎり
カール・ルイスを
置き去りにしたまま
ゴールのテープを
切り抜けて行った

真っ黒い弾丸みたいに
あっという間に
トラックを駆け抜けた

少年の俺には
アグネス・ラム同様
それは確かに輝いて見えた

しかしドーピングが発覚し
金メダルは剥奪され
俺達は騙された気分になり
英雄は一夜にして転落し
世の中からのバッシングを浴びた

世間の手のひら返しと
ドーピングと言う言葉を知った
翌年
1985年

効いてんだか どうだか
わかりゃしない
安定剤や睡眠薬を点滴されたまま
何の為だか 誰の為だか
知らないまま
ベッドの上で気が付いた時には
身動き一つ取れないザマ

眠りから覚めて
この仕組みに気がついた時に

おい!
あなたの為にじゃねえんだよ!
何の役にも立ってねえよ!
馬鹿野郎!
と医者に毒付き

脱走を決意するが
グルグル巻きのベッドの上で
思い出したぞ 糞ババア
人が寝てる間に連れてきやがって
こんな愛なんて 存在しねえよ!
と叫ぶものの
その声は虚しく
病室に響き渡るだけで

真夜中に誰かが大声で
船が出るぞー!と叫ぶ声を聞き
当直看護師の
はい、はい、
今日は嵐で船は出ませんよ!
の声に爆笑し

笑いとシンパシーさえあれば
一人でも この広い土地の中で
もしかすると
生きていけるんじゃないか?と
14歳の俺は頭をフル回転した

結論
愛なんていらない
金がかかるから
しかし、もし愛がタダだったら?
猫の目の様にあなた達は
常に自己正当化し
コロコロと気が変わるくせに
永遠を欲しがろうとする
一人で生きても
生殖線に触れられ
チキショウ!と
舌打ちしたり 舌が滑ったり
他愛も無い話しで
粘膜が口の中で溶けて
ドーピングなんて
無かった事にする
もみ消し作業をやってんだろう?
汚ねえな!
ふざけんじゃねえぞ!

STAP!

ひと月後

野に放たれた俺は

復讐を開始

その様はまるで

タイガー・ジェット・シンであった

虎は千里行き 千里帰る

全員殺す!

投稿者

東京都

コメント

  1. このタイトルはそそられますね。
    詩を書くってまさに!って思います

  2. ですよね?! (笑)

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