ある哲学者ある詩人あるあなたと

試しに言ってみれば
生きるとは朝一番の青空の匂いをかぐことだ
その下で演奏するブラスバンドに手を叩くことだ
生きるとはハーバーブリッジを渡ることだ
オペラに涙することだ

生きるとは生きるとは生きるとは生きるとは

ハイヒールのかかとを鳴らしてビジネス街を行くことだ
そのサングラスの奥を観察することだ

とどのつまり生の群れに自らを位置することだ

試しに言ってみれば
生きるとはレノンのTシャツをタイダイすることだ
マーケットのバスカーにお金をメグムことだ
生きるとは旅することだと信じることだ
動き止まりそしてまた動くことだ

生きるとは生きるとは生きるとは生きるとは

橋桁のグラフィティを創造することだ
ここから飛び降りたらと想像することだ

とどのつまり生の群れに自らを消滅させることだ

目覚まし時計のピピピピピ
歯磨きの音チュルチュッチュ
なんでもする なんにでもなる

生きるとは感じることだと言う人達に迎合することだ
戦うことだと言う人達に迎合することだ
呼吸することだと言う人達に迎合することだ
尋ねることだと言う人達に迎合することだ
問いかけを止めることだと言う人達に迎合することだ
生きるとは生物界最大のパフォーミングアートだ

とどのつまり生の群れに自らをなりすますことだ

と僕が歌い、あなたが読むことなのです

投稿者

千葉県

コメント

  1. つまり生きるとは世界と自分との関係性、人と自分との関係性を意識的に感じることだ、ということですね。これを比較的手軽に感じることができるパフォーマンスに旅というジャンルがあり、この詩からいくつかの国の風景を感じることができました。

  2. @たかぼ
    さん、コメントありがとうございます。
    まさにおっしゃるとおり、ハタチそこそこの旅の途上で現地で書いたものですが、今になってもこの側面では概ね間違ってはいないかもなという感覚ではありますね。やはり、我々は相対的な関係性のイキモノなんでしょうね。

  3. 生きるということが、ライブ感覚で表現されていますね。生きることは、一筋縄ではいかないのだな。だから、哲学があるし、文学があるし、アートがあります。…詩もあります。

  4. @長谷川 忍
    さん、コメントありがとうございます。
    確かにライブ感覚そのものだったかも知れませんね。今やこの詩が自分の中でもある種のアーカイブとなっていて少しノスタルジーさえ感じます。こういう感覚すら詩にパッケージしておいて良かったのだなと思います。

  5. お洒落で粋です!

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