夾竹桃の咲く街

街路樹として植えられた夾竹桃の花が咲いている
車通りの多い道
排気ガスで煙る景色
花びらは桃色
街に溶け込み人と共存する

この街は空気が淀んでいて
たまに離れたくなる

お昼も過ぎて
眠くなって
欠伸をしたら

花びら
はらはら
口の中

慌てて手へと吐き出した

当たり前のように花が咲き枝を伸ばす
だけど夾竹桃には毒がある

花びら
はらはら
手の中に

ふんわり包んで夢を見る

めまい
揺らめく

毒は…
薬にもなるらしい

さらさら
わからないね
わかるよ
そうかな
そうだよ
そう…

夕焼け
雲が橙色に
夜が近くなって
空気は少しずつ変化して冷ややかに微風

それから

夏が終わってゆく
台風が来るから

花びら
はらはら
風に飛ぶ

投稿者

千葉県

コメント

  1. わたしが小さい頃住んでいた大阪の町にも、公園の周りには大きな夾竹桃がぐるっと、植えられていました。ほとんどがピンクの花でした。なかにすこしだけ白い花がありました。毒があるよと言われていましたが、実がなるわけでもなく、ただ夏の熱い日に、わたしよりもずっと高いところで、たくさんの花を咲かせていました。それは強くすがすがしいものでした。

  2. @坂本達雄
    そうなのですね。公園に植えられていたのですか。
    夾竹桃は、虫除けの意味や排気ガスをフィルターのように防いでくれる効果もあるようなのでそれで公園に植えたのかもしれませんね。
    不思議な植物だなと思って詩に書きました。
    コメント嬉しかったです。ありがとうございました。

  3. 夾竹桃は私も興味があります。非常に強い毒は同時に強い生命力を連想させます。原爆の翌年には広島に咲いて復興のシンボルとなったのもむべなるかなですね。詩の題材としても良いですね。

  4. @たかぼ
    私も復興のシンボルという意味もあることを調べて存じておりました。
    興味深い植物だなと思い、詩に書きました。
    コメント嬉しいです。ありがとうございました。

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