月に向かって吠える犬

月に向かって吠える犬

牙を抜かれたオオカミは

帰る場所を思い出す

夜空に浮かぶ月を見て

胸の中が張り裂けそうで

己の声は届かない

わかっているがむせびなく

牙が戻るはずもなく

飼われてしまったオオカミは

やがて己の魂を忘れてしまって

犬となる

何が良くて悪いかなどと問答する気はない

ただ今夜の月がきれいで

忘れたものを取り返すよに

何度も何度も夜空を見上げ

問いかける

ワタシはここにいるよ、と

月に向かって吠える犬

懐かしい旧友たちへ紡ぐ唄

投稿者

佐賀県

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