
組曲詩 三文オペラ「夜に囁く湿気と埃の精たちの、アリア」
第一部 「ケーキとは、女である」
感情移入とは、私にとって、爪切りである
立ち止まり、じっと足元を見て、心の中を覗く
面倒くさい作業だが、その行為を通してしか、この世界と繋がることが出来ないのである
子供の時は、お布団に感情移入したこともある
人と繋がりたい それが無理なら、ケーキに感情移入してみるか?
さて、フォークでカステラをいじりながら、ゆっくり回し、感情移入する角度を探し始める
ケーキのどこに感情移入すべきか? この、カステラか? 牛乳か? どこに焦点を当てよう?
分かった、女だ。ケーキとは、女である。クリスマスの夜に、恋人がいなくて、ケーキを買ってくる
メリークリスマス ケーキくん 神よ、憐れみたまえ! 孤独なボクに、シングルのショートケーキ!
「パックンチョ!」
ケーキとは、女だ。感情移入は長く、食べるのは、一瞬!
第二部 「兄者への、おやすみ」
世の中には、肉体を通して世界と繋がった人々がいて、その人々にとって、こころを通して世界と繋がる行為は、湿気であり、古い世界の埃であり、振り払い落とすべき、なにか? なのです。
朝起きて、夜眠る。礼儀正しく、決して、誰にも甘えることはない人々
音楽は奴隷化され、声なき声となる。
夜の闇の中で、疎外された魂が泣いている。
兄者、兄者も、この音を聞いていたんだね?
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