ハナスシア・アタラータ
君たち自身の版築(はんちく)であるから
君たち自身は土を用意しなさい
奥まった部屋の天井は木の枝と藁である
素朴なつくりを用意しました
新婚のふたりのために
愛の生活をはじめるふたりのために
イソシギのさえずりが勧興の歌でむかえるでしょう
のぞましい愛の生活のその営みの
新月がしだいに肥え太り、夜の空を渡るのです
しっとりとした葉は闇の中で湿度ある愛撫で濡れるのでしょう
このようなてのひらの
このようなふれる時間の
てらてらとふしどのかんむりを
いわれなきあまみずの
大熊座のシリウスのベテルギウスのとなかいの
らぶである、らるらると、しんすいコースの
ここなっつのヘリクソンの
やがては、すみずみへと、枇杷の実のように
かばいきれない、みみずくたちの声である
ふしどは湿度を保ちつつ
ふたりのからだのゆらゆらと、ゆれている
駱駝のような新月の
たわわな新鮮がみちてくるのだ
ダイスはころがって砂にからまり
ふたりの指のふくらみの
テレスはこうして闇の中のリリーである
噴出するもののいきおいのアルバート色の吐息の
夜空のかくべつの色合いの
奥多摩の岸辺の黒曜石の
そして砂の深海魚のための
ゆうぜんとカリントウの愛するように
モウセンゴケがひろがるでしょう。
コメント
ポエトリーリーディング的なものにはさほど興味がないのですが、
この詩には、声に出して読まれたものを聴いてみたいと感じる何かがあります。