空を見上げろ、模型だ
理科室の分子模型は球形をしている
しかし、空間は球で埋め尽くせない
丸いガラスのビー玉をコップに詰めるとすき間ができる
空間は間違っている
自然がそんな無駄をつくるわけがない
四角いレンガで埋め尽くせるこの空間は
人間の認識だ
平面と垂直から成る三次元の空間は人間が
地面に二本足で立つために
作り出した
便利な
その誤解がおれたちを立ち上がらせる
故郷の大地に2本の脚で視線を空に近づけた
見ろ、あれが遠くだ
遠く、その手はまだ自力でしがみつけないおまえを抱いて
遠くへ、と
理科室の窓からは風が吹いていっしょに
放課後のグランドに響くワンチームの昂揚した掛け合う声が届いてくる
すべてを埋めたがる人間にすこし感動しながら
ビー玉を詰めたコップにメスシリンダーから水をそそぐ
コップの縁から水があふれる寸前で傾けていたメスシリンダーを垂直に戻し
広く水平な理科室の実験机の上に置く
姿勢を低くして水平な視線でメスシリンダーの減った目盛りを読めば
空間の間違いが分かる
おれたちはありもしないすき間を埋めたがる
美しすぎる誤認
完全な世界に完璧な蛇足を付け加える驚異の創造性だ
おれはすこし感動しながらメスシリンダーをふたたび傾ける
コップの縁を越えて水があふれ、しかし、水はいつまでも注ぎ続けることができる
水平な机の上を水は広がり続ける
おれたちが広がり続けるのは
ありもしない水平にあり得ない垂直で立っているからだろう
遠くへ
走り出したおまえに風は遅れて吹く
コメント
うわ、としか、感想出てこないです。
それでも、コメントお伝えしたかった。
クオークですら球形やら紐型をしていて隙間ができるというので現代物理学の力を持ってしても空間を埋め尽くすることができないとなればこの世は模型じゃないかと疑ってかかりたくもなりますよねそりゃ。
@wc.
>うわ、としか、感想出てこないです。
>それでも、コメントお伝えしたかった。
わーい、最大級の賛辞! ありがとうございます、ゼッケンです。wc.さん、こんにちは。。。だが、よく見ると、このコメントのどこにも直接的な「賛辞」はないのです。「うわ」って驚きの発語ですものね。中立です。「うわ、」の後にひどいと続いても用語に違和感はない。wc.さんの「うわ、」を勝手にamazing!の意味で取ってしまったゼッケン。人間って自分が見たいものを見てしまう好例。常に賛辞に飢えている私は無から有を生み出してしまったのでしょうか? だとすれば、この返信は最大級の惨事です。
@たかぼ
>クオークですら球形やら紐型をしていて隙間ができるというので現代物理学の力を持ってしても空間を埋め尽くすることができない
そうなんですよ、たかぼさん、話が早い。ゼッケンです。とすると、空間を直交座標で表している我々の空間認知が自然に追いついてない。我々にとっての空間というのは広がりそのものを把握するためのものではなく、あくまで我々の運動を地球上で成立させるという直接的な目的のある場であって、つまり、常に垂直方向に力がかかる地球の重力場内で筋張力を制御する解を得るかのマトリックスなんでしょう。人間が自由な認知を得るには地球は我々に対して大きすぎる。
ゼッケン 様
確かに、言葉はしっかり選ばないと
数年前、竹田城跡の雲海を見に行きました
朝、4.5時だったように思います。
運に恵まれたのでしょう
暫く、日が差していく雲海が見られました。
その時は多分、うわ、とか、いやーとか
ただ無言だったり、
ひとときでも圧倒されると
僕はそんな言葉や、それすらでてきませんでした。
なんだろう、アメージングになる前の
what a.. だったり how.. だったり
そんな感じです。
ごめんなさいね、しつこくて。
ありがとうございました。